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構造化ライトフィールドによる高速距離画像計測

 

近年,kinectなどのデバイスによる三次元計測が注目され,ヒューマンインターフェース,ゲーム,医療機器など,さまざまな場面での応用が期待されている.特に,ヒューマンインターフェースやロボットのように,比較的高速な対象の計測が必要となる用途を考えると,高速かつ低遅延の三次元計測が重要になることが予想される.

従来,多くの三次元計測は,三角測量によるステレオ法に基づいている.しかし,この手法は対応点探索に基づいているため,計算量が多くなってしまい高速化が難しいという問題がある.

そこで,当研究室は三次元計測の高速化を目標として,構造化ライトフィールド照明法を提案している.構造化ライトフィールド照明とは奥行き方向にも構造を持っている光であり,特に光源からの距離に対応して二次元的なパターンが変化する物を提案手法では利用する.このような光を計測したい空間に照射すると,光源からの距離に応じて対象の表面に異なるパターンが重畳される.この画像をカメラで計測し,表面のパターンを認識することで対象の距離情報を計測することができる.

構造化ライトフィールド照明は,例えば異なるフォーカス位置の複数のプロジェクタから異なるパターンを対象物に同時に投影することで生成できる.これまで,平面と立体的な物体に対する縦横縞の投影による距離計測を1000Hzで高速に行うことで,白い背景の前の白い球を追跡対象とするような対象物と背景の識別が困難な条件での運動対象のトラッキング実験や,動的な投影対象のうち距離が最短の物体上にレーザープロジェクタを用いた描画を行うダイナミックプロジェクションマッピング実験から提案手法の有効性を確認してきた.風船が破裂する様子の距離画像を1000Hzで計測した結果と,人間が動かしている物体や人間の手に動的にプロジェクションマッピングをした結果を以下の動画に示す.

 

動画 1000Hz距離画像計測とダイナミックプロジェクションマッピングの動画.

図1 構造化ライトフィールドの概念図

図2 2つの球に構造化ライトフィールドを投影した場面の画像(左)と,この画像から推定された距離の指標の画像(右)

参考文献

  • 小原彬寛,山田健人奥寛雅 : 構造化ライトフィールド法とレーザープロジェクタを用いた動的プロジェクションマッピング日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2017 (Robomech 2017) (ビックパレットふくしま,福島,2017.5.12)/講演論文集,2A1-J10

  • 小原彬寛,奥寛雅 : プロジェクタを用いた構造化ライトフィールド法に おける 計測パラメータ決定法,第34回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2016)(山形大学小白川キャンパス,山形,2016.9.7)/講演論文集,1V1-03

  • Akihiro Obara, Xu Yang, and Hiromasa Oku : Structured Light Field Generated by Two Projectors for High-Speed Three Dimensional Measurement, Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.28 No.4, pp.523-532 (2016) [doi:10.20965/jrm.2016.p0523]

  • 松本卓也,奥寛雅,石川正俊 : 構造化ライトフィールドを用いた高速距離画像計測,日本ロボット学会誌,Vol.34, No.1, pp.48-55 (2016)

  • 木村俊貴,楊旭,奥寛雅 : プロジェクターを用いた構造化ライトフィールドの投影による高速三次元距離計測とトラッキングへの応用,第21回画像センシングシンポジウム (SSII2015) (パシフィコ横浜,神奈川,2015.06.11)/講演論文集,IS1-24

  • 木村俊貴,楊旭,奥寛雅 : プロジェクターを用いた構造化ライトフィールドの投影による高速三次元距離計測,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2015 (Robomech 2015) (みやこめっせ,京都,2015.5.18)/講演論文集,1A1-I03

  • 松本卓也,奥寛雅,石川正俊 : 構造化ライトフィールドの投影による実時間距離計測,第32回日本ロボット学会学術講演会(九州産業大学,福岡,2014.9.4)/予稿集,1J3-06

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